♪8月の定例会の報告をいたします。
「がん化学療法最前線」というテーマで九州がんセンター消化管腫瘍内科でがん薬物療法専門医の佐田修二さんに講演していただきました。(先月の御案内で在田修平さんと間違った事を深くお詫び申し上げます。)
 内容は、1.「がん」ってどんな病気? 2.がんの治療法 3.がん化学療法の目的と原則 4.標準治療って? 5.新薬の開発 6.副作用対策について 7.よく質問されること ○説明と同意(告知) ○研究開発中の治療でした。
 印象に残ったのは、新薬として副作用が軽い一般的な抗がん剤・分子標的薬・高分子薬の開発が進んでいる。又、抗がん剤の副作用の悪心・嘔吐対策が進み、制吐剤新薬の開発・既存薬の使用方法の適正化等の制吐剤適正使用ガイドラインもできている。更に以前は入院しての化学療法が、いまでは外来で行なわれるようになってきている。

がんの治療法
ー現代医学では、大きく分けて3つの考えがあります。
・切除手術
・薬物療法
 ーホルモン療法
 −抗がん剤治療(化学療法)
・放射線治療

化学療法の目的
・根治をも気的とした化学療法
 ・薬物のみで根治を目指すがん
 ・放射線治療との併用で根治を目指すがん
 ・手術の前または後に行って根治を目指すがん

 −少々の副作用には目をつぶって、強度の高い抗癌剤治療を行います。
 ・もちろん、副作用を軽くするためのできるだけの治療(抗がん剤支持療法)をします
 ・副作用が回復可能であれば、より治療効果を優先します

化学療法の目的
・延命・症状緩和を目的とした化学療法
 ・根治が望めない進行がん

 −がんが進行し体をむしばむのを遅らせる
  ・がんが小さくなれば症状が軽くなる

 −がんがある状態でも、長く元気に過ごすことが目標、副作用とのバランスが大事
  ・現在の体力を、未来の体力のために投資する
  ・投資に見合ったものが返ってくるかどうか
   →返ってこないなら化学療法は再検討

化学療法を行う上での原則
・副作用<効果
 とするために必要な条件

 ー標準的治療が確立している(ポイント@)
 ー全身状態、栄養状態が良好
 ー十分な臓器機能を有する
 ー十分な説明(告知)の上で治療同意がある(ポイントA)

新薬の開発
・分子標的薬
  ・細胞の特定の機能(とくに、がん細胞の生存・増殖・活性化などに関わる)を調節する目的で設計された薬剤
  ・実用化された薬剤は、細胞障害性抗がん剤より毒性が低いものが多い、と考えられていたが・・・
  ・正常細胞も影響を受け、各薬剤に特徴的な副作用が出現します(重症化すると致命的なものも)

  ・イレッサ、タルセバ、グリベック、スーテント、タイケルブ、ベルケイドなど(小分子化合物)
  ・ハーセブチン、リツキサン、アバスチン、アービタックス、ベクティビックス、など(抗体療法薬)

ー新薬が次々と開発・実用化されつつあります

新薬の開発
・高分子化薬
 ・正常細胞よりもがん組織の方が血管透過性が高いことを利用して、がん組織により多く分布するよう設計された殺細胞性抗がん剤

 ・ドキシル、ポリエチレングリコール結合ドキソルビシン(もとはアドリアシン)
 ・アブラキサン:アルブミン結合パクリタキセル(もとはタキソール)など

副作用対策の進歩(悪心・嘔吐)

・制吐剤適正使用ガイドライン
  嘔吐リスクを4段階に分け具体的な制吐剤の使用法を解説
 −制吐剤新薬
  ・イメンド(アプレピタント)
  ・アロキシ(パロノセトロン)
 −既存薬の使用方法の適正化
  ・ステロイドホルモン剤
  ・カイトリル(グラニセトロン)など

まとめ

・がん化学療法を受ける患者さんの多くは治療不能の進行がんをもっており、化学療法の効果と副作用のバランスをうまくとりながら治療を進めます
・新薬・新治療や副作用コントロールにより効果を最大化し副作用を最小化することが日々行われています
・標準治療は多くの患者さんの協力によって確立されたもので、現在もよりよい新治療・新薬の開発のための努力が続けられています
・患者さんの積極的治療参加により、ひとりひとりの生活設計にあった治療法を提案することを目標としています